ドラッカーと会計の話をしよう②

ドラッカーと会計の話をしよう (中経の文庫)



 

 

①の続き〜

 

【目次】

       と「イノベーション」の本来の意味

  • 知識労働者の生産性を上げる6つの条件
  • まとめ 感想

 

 

ミッション(目的)こそが活力の源泉


私の住まいの近くのパサデナ小児癌病棟では、(中略)  みなが生き生きと働いている。辛い仕事の中でミッションを感じている。仕事のほとんどは、子供たちの吐いたものの始末などである。しかし、そこには重要なことをしているとの意識がある。(中略)  ミッションを感じることこそか非営利組織の活力の源泉である。

*本書より引用

 


上記引用文の通り、従業員にやりがいを感じさせるためには、彼らに使命感を感じさせることが大切である。

 

では、どのようなミッションを設定すればよいのか?

 

ミッションは、客の望みに寄り添ったものであればある程、従業員は使命感を感じやすく、組織に正しい行動をもたらす。

 


病院を例にして挙げると、「高度の医療を提供することを通じて、地域の人々が健康な生活を送れるようにすること」といったようなミッションを掲げたとしても、患者が病院に求めているのは「病気を治してくれること」であり、病気さえ治れば高度な医療でなくても良いと考えている方が大半である。従って、このミッションは客の望みに寄り添ったミッションとは言い難い上、抽象度の高いミッションなため従業員もイメージしにくい。

 


「病気の治療をすること」

これくらいシンプルで、ドがつく程直球なミッションの方が、病院の取るべき行動が明確になる。このミッションに沿えば、病院側にとって、「治癒率を高めること」が正しい行動となる。

 

このように、ミッションはその事業が存在している本質を明確にしており、シンプルな方が、従業員の取るべき行動も明確になる。ミッションは従業員の活力の源泉にもなり得るため、その設定はとても重要。

 

 

 

 

ドラッカーが示す「マーケティング」と「イノベーション」の本来の意味

 

マーケティングは顧客からスタートする。  すなわち顧客の現実、欲求、価値からスタートする。 (中略)  「われわれの製品やサービスにできることはこれである」 ではなく、「顧客が価値ありとし、必要とし、求めている満足がこれである」と言う。

*本書より引用

 

マーケティングとは、顧客の視点である。顧客を理解し、製品やサービスを顧客の価値観に合わせていくことである。  

 

 


ドラッカーの定義する「イノベーション

とは? 

 

イノベーションとは、顧客にとっての価値の創造である。

*本書より引用

 


ドラッカーは、「イノベーション」の範囲を幅広く定義しており、業務活動の視点に含まれるものは全てイノベーションとしている

例えば、食材廃棄を無くすために行動を起こしたり、動かない設備(付加価値を生まない設備)を処分するといったような、無駄を省き生産性を向上させることもイノベーションである。

 

 

 

知識労働者の生産性を上げる6つの条件

 

1.仕事の目的を考える。

→言い換えれば、仕事の定義。

   これが出来きれば、条件2~4も自然とつい 

   てきやすい。

 

 

2.働く者自身が生産性向上の責任を担う

 

 

3.継続してイノベーションを行なう。

 

 

4.みずから継続して学び、人に教える。

 

 

5.知識労働の生産性は量よりも質

→努力すれば達成可能な数値を基準(最適な基

   準)として設定する。

 

 

6.知識労働者は、組織にとってコストではなく資本財

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*上記条件の内、記載がないものは、本書で特に説明がなかったり、言葉通りの意味である条件です。——————————————

 

知識労働者が常に知識労働をしている訳ではない。肉体労働的な仕事をしている時はマニュアル通りにすることで付加価値を生むが、知識労働的な仕事は、マニュアル化できないだけに付加価値も高い。

 

 


まとめ 感想

会計学に関する事柄を扱っているのにも関わらず、読みにくさは全くなく、小説としても楽しめた。「投資も支出の一部」や「知識労働者は生産手段を頭の中に所有している」など、ドラッカーの言葉には驚かされたり、なるほど!と思わされることばかりだった。会計学を学んでいる方も、そうでない方にもオススメできる一冊。