名探偵コナンとホームズの推理比較~ 「名探偵コナンに学ぶ ロジカルシンキングの超基本」を読んで

名探偵コナンに学ぶロジカルシンキングの超基本

 


この書籍は、名探偵コナンが犯人を特定するまでの思考法を以下に挙げられる5つのステップに分けて解説し、この思考法が現実世界にどう役立つのかについて述べている。

 


1.イシューを特定する。

2.枠組みを考える。

3.初期仮説立てる。

4.初期仮説を検証し進化させる。

5.結論づける。  

 


それぞれのステップについて名探偵コナンの事件の事例と、マーケティングへの活用例を基に以下に詳しく説明していく。

 

 

 

 


1.イシューを特定する。

名探偵コナンであれば、犯人は誰か?マーケティングの活用例で言えば、この商品を市場に導入するべきか?といったような問題提起がこれにあたる。

 

 

 

 


2.枠組みを考える。

結論を導くための枠組みを作る。結論を導くのに役に立ちそうであれば、基本的にどんな枠組みでも良い。

 


例えば、ロジックツリーを作り、イシューに対する考えられる結論を書き、その下にそれぞれの結論に対する根拠を書くなど。

 


イシューに対する結論が直ぐに思い浮かばない場合は、イシューに関する疑問(名探偵コナンの場合は、動機は何か?どうやって殺したか?など)を書き、その下にそれぞれの疑問に対する答えを書いていく。

 


マーケティングに関するイシューなら、ミーシーな分解を心掛け、4Pや3Cなどのマーケティング手法を使って枠組みすると良い。 枠組みをする時には、ダブりのないように気をつける。例えば、主婦と労働者という2つの枠組みを作るとしたら、その両方に属する人が出てくるため、良い枠組みとは言えない。良い分け方としては、年齢別に分けること。そうすれば、少なくともダブりは出てこない。

 

 

 

 


3.初期仮説を立てる。

初期仮説は、根拠に支えられている必要があり、抽象的になりすぎないようにする。

 


初期仮説を立てる時は、隠れた前提に注意すること。例えば、新商品は価格の安さで市場シェア30%目指せるのでは?という仮説を立て、たとえこれに根拠があったとしても、そもそも顧客が安さを求めているのか?と前提を疑うことも必要。

 

 

 

 


4.初期仮説を検証し進化させる。

これは、言葉通りの意味。自分が立てた仮説を検証し深堀していく。

 

 

 

 


5.結論づける。

枠組み事に結論づけること。自分が思い込んでいることないか疑う。これはどの段階でも大事。

 

 

 

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この本を読んで、コナンの推理法とシャーロック・ホームズシリーズでお馴染みのホームズの推理法は、似て非なる者だと思った。

コナンの推理法は上述した通りなので省略させて頂くが、ホームズの推理法については以下の通りである。

 

 

 

シャーロック・ホームズシリーズの「緋色の研究 (コナン・ドイル著     1886年)」を参考にすると、ホームズの推理法自体は極めて単純だ。まず頭を真っ白にし、現場に向かって調べていき一つ一つそこから分かることを明らかにしていくだけである。例えば、殺人現場周辺に2つの足跡を発見し、それを分析したところ、小さな上品の靴跡と歩幅が広い足跡だと判明。ここから上品な男と背の高い男が通ったことが分かり、流行の服を着た男が亡くなっていたことから犯人は背の高い男の方だと分かる。さらに現場を調査すると、死人の近くに指輪を発見。このことから指輪は、被害者に死んだが消え失せた女を思い出す材料として、犯人が用いていた物に違いないと確信。警察に死人の結婚に関する点だけを知らせてもらうように電報をし、昔の恋敵に付け狙われているため保護を願い出ているという情報を得て犯人を特定。このように、ホームズの推理法は、実地調査をベースにし、そこから一つ一つ事実を紡ぎ出し犯人を特定していくといった手法である。

 


こうして見ると、コナンとホームズの推理法は、似て非なるものであると思う。ホームズの場合は、とにかく現場に赴き緻密に捜査してそこから事実を紡ぎ出していくが、コナンのように仮説を立てて、その仮説を検証していくといったようなスタイルではなく、ホームズの場合はどこか断定的なところがある。

しかし、複数の事象を基に結論を導くという点では、コナンもホームズも帰納法的思考だと言える。